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CMA(米国公認管理会計士)は経理で評価される?転職での使いどころ

Photo by Melanie Deziel on Unsplash

経理として数年働き、決算や月次の締めには慣れてきた。次は予算管理や経営企画に近い仕事に移りたいが、簿記だけでは差がつかない。そんなときに目に入るのが、米国公認管理会計士(CMA)ではないでしょうか。取得に時間と費用がかかる資格なので、「取ったあとに本当に転職で役立つのか」が気になるのは当然です。

CMAは、会計事務所や税理士法人でよく話題になる税理士や簿記の資格とは性格が違います。決算書をつくる力より、数字をもとに経営判断を支える力、つまり管理会計の領域を扱う資格です。そのため、経理のどの仕事を目指すかによって、評価のされ方が大きく変わります。

この記事では、まずIMA(Institute of Management Accountants)が公表している取得条件を確認します。そのうえで、事業会社の経理や管理会計の職種で評価されやすい場面と、そうでない場面を分けて整理します。最後に、受験を決める前に自分で確かめる手順をまとめます。読み終えるころには、CMAを取るべきか、まず別の準備を優先すべきかを、自分の状況で判断できるはずです。

なお、CMA保有者の年収や採用率を職種別に示す公的統計は、確認できた範囲ではありません。そのため、この記事では年収の数値で結論を出さず、条件の確認方法と判断の軸を中心に書いています。

この記事で分かること

  • CMAの取得に必要な試験・学歴・実務経験の条件と、期限の考え方
  • 事業会社の経理で評価されやすい場面と、評価されにくい場面
  • 目指す職種別に見た、CMAの使いどころの比較
  • 受験を決める前に確認したい手順とチェックリスト
  • 簿記など他の資格との優先順位のつけ方
目次

CMAの取得条件は「試験だけでは終わらない」

CMAは、試験に合格しただけでは名乗れません。IMAの公式ページには、試験、学歴、実務経験、会員資格の条件が並んでいます。まずは条件を正確に押さえることが、判断の出発点になります。

試験と期限の仕組み

試験はPart 1とPart 2の2つで、IMAのページには「You can take them in any order.」と書かれています。つまり、どちらから受けてもかまいません。形式はコンピューター受験で、受験時期は年3回、1〜2月、5〜6月、9〜10月の枠が設けられています。

期限にも注意が必要です。同じページには、登録後に両パートへ合格するまでの期間が「three years」、学歴と実務経験の条件を満たすまでの期間が「seven years」と記載されています。仕事をしながら受ける人にとっては、3年という合格期限が学習計画の土台になります。繁忙期に学習が止まる経理職は、決算期を避けて受験枠を選ぶ工夫が要ります。

学歴・実務経験・会員資格

学歴の条件は「A bachelor’s degree from an accredited college/university or a related professional certification」と記載されています。四年制大学の学位、または関連する専門資格が対象です。日本の学歴や資格がどう扱われるかは、個別に確認が必要です。IMAの案内で自分の場合を照会してから動くのが安全です。

実務経験は、管理会計または財務管理の分野で「two continuous years」の専門職経験とされています。この経験は、試験合格の前でも、合格後7年以内でも満たせると書かれています。経理の実務経験がそのまま該当するかどうかは、担当業務の中身によります。決算の仕訳入力だけの経験と、予算差異の分析や原価の把握を含む経験では、説明のしやすさが変わります。

さらに、IMAのページには「Only active IMA members are eligible to earn the CMA.」とあります。CMAを取得するにはIMAの会員である必要があり、資格を保つ間は会員資格の維持も求められます。合格後は、年30時間の継続学習(CPE)を報告し、そのうち2時間以上は倫理に関する内容とされています。取得後も費用と時間がかかり続ける資格だと理解しておきましょう。

費用と言語は公式で確認する

受験料や会費、試験を日本語で受けられるかどうかは、今回確認したIMAのページには記載がありませんでした。金額や言語の条件は変わることがあるため、この記事では書きません。申し込む前にIMAの最新の案内で確認してください。

事業会社の経理でCMAが評価されやすい場面

CMAが評価されやすいのは、仕事の中に管理会計の要素があり、資格がその力を裏づける場面です。資格名そのものより、仕事の内容と結びついているかが評価を左右します。

予算管理・予実分析に関わる職種

月次の予実管理、部門別の損益把握、原価や採算の分析といった仕事では、管理会計の考え方がそのまま使われます。こうした職種の求人では、応募者が数字を読み解いて提案できるかが見られます。CMAは、その学習をやり抜いたことと、基礎知識があることを示す材料になります。

ただし、資格だけで内定が決まるわけではありません。面接では「どの数字を、誰に、何のために報告したか」を聞かれます。資格の学習内容を、自分の業務の言葉に置き換えて話せるかが重要です。たとえば、予算と実績の差が出たときに、原因を部門と一緒に切り分けた経験があれば、CMAの学習がその経験を整理する枠組みになります。

経営企画や事業部の経理へ移るとき

経理から経営企画、事業部付きの経理、FP&A(財務計画と分析)に近い仕事へ移りたい人にとって、CMAは「決算の人」から「判断を支える人」への見え方を変える手段になりえます。職務経歴書で、決算業務の経験とあわせて管理会計への関心を示せるからです。

ここで大事なのは、資格の取得が目的にならないことです。社内で予算策定の補助に入る、部門別の損益資料を自分でつくるなど、小さくても実務の経験を先に積めば、資格の説得力は一段上がります。管理職候補としての見られ方は、経理の管理職への転職で求められることで整理していますので、あわせて確認してください。

評価されにくい場面もある

一方で、CMAが評価されにくい場面もあります。決算・開示・税務処理が中心で、管理会計の要素がほとんどない求人では、簿記や実務経験のほうが重視されます。また、中小企業の経理では、1人で幅広い実務をこなす力が求められ、資格の種類より対応範囲が見られる傾向があります。これは編集上の見方であり、すべての企業に当てはまるわけではありません。

求人票を読むときは、仕事内容に「予算」「分析」「採算」「経営層への報告」といった語があるかを見てください。こうした語が見当たらない求人でCMAを前面に出しても、強みとして伝わりにくいことがあります。

目指す職種別に見るCMAの使いどころ

職種ごとにCMAの効き方は違います。次の表は、よくある進路ごとに、CMAを取る意味合いと先に固めたい経験を整理したものです。評価の強さを断定するものではなく、判断の目安として使ってください。

目指す進路CMAが役立つ理由先に固めたい経験注意点
予算管理・予実分析の担当管理会計の知識が仕事内容と近い月次の差異分析、部門別損益の把握資格より分析の実例が重視される
経営企画・FP&A判断を支える視点を示せる数値計画づくり、経営層向け資料英語や分析ツールの経験を問われる場合がある
事業部付きの経理現場と数字をつなぐ役割を説明しやすい事業部との折衝、採算の把握資格がなくても社内異動で近づける場合がある
決算・開示中心の経理補助的な位置づけ連結、開示、監査対応簿記や実務経験のほうが評価されやすい
会計事務所・税理士法人直接の関連は薄い税務申告、記帳代行の実務税理士試験の科目合格のほうが話が早い

表の読み方

この表で見てほしいのは、CMAが効く場面は「管理会計を使う仕事」に集中しているという点です。裏を返せば、目指す仕事が決算や税務の実務中心なら、CMAは優先順位が下がります。会計事務所から事業会社へ移るときの経験の活かし方は、会計事務所から一般企業の経理へ転職するにはも参考になります。

公的統計で区分されていないこと

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、e-Statの案内によると、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、企業規模などの属性別に賃金を示す統計です。この区分には、CMAのような特定の資格の保有有無は含まれていません。そのため、CMAを取ると年収がいくら上がるのかを、公的統計から示すことはできません。

民間の求人や調査にはCMA保有者の年収をうたうものもありますが、集計の条件が分からないまま数字を信じるのは危険です。年収の見込みを知りたいときは、応募したい求人の提示年収と、自分の現在の年収を直接比べてください。資格の有無による差を一般論で語るより、個別の求人条件のほうがずっと確かな材料です。

受験を決める前の確認手順

CMAは時間も費用もかかる資格です。取ってから「思っていたのと違った」とならないために、次の手順で確かめてから動くことをおすすめします。

手順1:目指す職種の求人を10件ほど読む

まず、自分が移りたい職種の求人を10件ほど読みます。その中で、CMAを必須または歓迎条件に挙げているものが何件あるかを数えてください。歓迎条件に書かれているだけの場合は、取得していなくても応募できる可能性があります。件数が少ないなら、資格より実務経験を厚くする道を考えたほうがよいでしょう。

手順2:実務経験の条件を自分の業務に当てはめる

次に、IMAが求める「管理会計または財務管理の2年間の継続した専門職経験」に、いまの業務が当てはまるかを書き出します。当てはまる業務が少ないなら、資格の取得と並行して、予算や分析の仕事に関わる機会を社内でつくる必要があります。

手順3:学習時間と期限を逆算する

登録後3年以内に両パートへ合格する必要があるため、仕事の繁忙期を踏まえた学習計画を立てます。受験枠が年3回なので、決算期と重なる枠は避けるなど、現実的な日程にしてください。

受験前のチェックリスト

  • 移りたい職種の求人で、CMAまたは管理会計の経験が求められているか
  • 現在の業務に、予算管理・差異分析・採算把握が含まれているか
  • 学歴の条件を満たしているか、IMAの案内で確認したか
  • 受験料・会費・継続学習の費用を、総額で把握したか
  • 日本語で受験できるか、IMAの最新の案内で確認したか
  • 3年以内に両パートへ合格できる学習時間を確保できるか
  • 職務経歴書に、管理会計の経験として書ける実例があるか

職務経歴書にどう書くかは、経理の職務経歴書の書き方で項目別に整理しています。資格を取る前に、実績をどう見せるかを一度書いてみると、足りない経験が見えてきます。

他の資格との優先順位をどうつけるか

CMAは単独で考えるより、いまの自分の経歴と他の資格との関係で優先順位を決めるほうが現実的です。

簿記が先か、CMAが先か

経理の基礎が固まっていない段階なら、簿記の学習が先です。仕訳や決算の流れが分かっていないと、管理会計の議論も実務に結びつきません。簿記を持ち、すでに数年の経理経験があって、次は分析や予算に関わりたい。そう思うところで、CMAが選択肢に上がってきます。

英語や海外業務との関係

CMAはIMAが運営する国際的な資格です。外資系企業や海外拠点を持つ企業の経理・管理会計職を目指す場合、国際的な枠組みで学んだことは説明材料になりえます。ただし、英語力そのものは別に問われることが多く、資格があるから英語が不要になるわけではありません。国際的な会計の資格について、英文会計の面では英文会計(BATIC)を転職に活かす方法の内容も、見比べる材料になります。

取らない選択も含めて決める

求人を読んだ結果、CMAが必須の求人がほとんどなく、実務経験で十分に応募できると分かることもあります。その場合は、資格に使う時間を、予算管理の実務を社内で経験することに回したほうが、転職の成功に近いかもしれません。資格を取らないという判断も、確認した結果としての立派な選択です。

まとめ

CMAは、事業会社の経理のなかでも、予算管理、予実分析、経営企画、事業部付きの経理といった管理会計に近い仕事で意味を持つ資格です。取得には、2つの試験への合格、学歴、2年間の継続した実務経験、IMAの会員資格が必要で、取得後も年30時間の継続学習が求められます。

一方で、決算や税務が中心の求人では、簿記や実務経験のほうが重視されることがあります。CMA保有による年収差は公的統計では区分されていないため、数字で期待を膨らませず、応募したい求人の条件を直接確かめることが大切です。

受験を決める前に、求人を読み、実務経験の条件に自分の業務が当てはまるかを確認し、学習の期限を逆算してください。その結果、CMAを取る場合も取らない場合も、納得して選べるはずです。

  • CMAは管理会計を使う仕事で評価されやすく、決算・税務中心の求人では優先度が下がる
  • 取得には試験・学歴・2年間の継続した実務経験・IMA会員資格が必要で、期限もある
  • 資格の有無による年収差は公的統計では区分されておらず、求人条件で個別に確かめる
  • 受験前に、求人の読み込み、実務経験の確認、学習計画の逆算を済ませる
  • 簿記など基礎が固まっていない段階では、基礎を優先する

参考文献

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