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会計事務所の求人の探し方|求人媒体・紹介・直接応募の使い分けと進め方

Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

会計事務所への転職を考え始めて、求人サイトを開いてみた。ところが似たような求人が何十件も並んでいて、どれが自分に合うのか分からない。紹介会社に登録するべきか、事務所のホームページから直接連絡してもよいのか、それも判断がつかない。そんな場面で手が止まっている方は少なくないはずです。

会計事務所の求人は、探し方によって見える求人が変わります。求人媒体には載っていない募集が事務所の採用ページにだけある場合もあれば、紹介経由でしか話が出てこない案件もあります。逆に、広く見られる媒体で比較しないと、自分の条件の相場がつかめません。入口を1つに絞ると、見落としが増えやすくなります。

とはいえ、手当たり次第にすべてを使う必要はありません。今の自分が「経験者か未経験か」「在職中か離職中か」「どの地域で、どのくらいの規模の事務所を希望するか」によって、向いている入口は変わります。この記事では、会計事務所の求人の主な探し方を整理し、使い分けの基準と、応募前にそろえておきたい準備を順番に示します。

読み終えたときには、自分は最初にどの入口から動き、どの順で広げていけばよいかを決められる状態を目指します。

この記事で分かること

  • 会計事務所の求人に出会える主な入口と、それぞれの特徴
  • 求人媒体・人材紹介・ハローワーク・直接応募の向き不向き
  • 経験や状況に応じた入口の選び方
  • 求人票を読むときに確認したい項目と、応募前の準備手順
目次

会計事務所の求人の入口は4つに分けて考える

会計事務所の求人に出会える入口は、大きく「求人媒体」「人材紹介」「ハローワーク」「事務所への直接応募」の4つです。それぞれ、見える求人の範囲、相談できる範囲、自分でかける手間が違うため、役割を分けて使うのが現実的です。

求人媒体は、自分で条件を絞って検索し、気になる求人に自分から応募する形です。人材紹介は、担当者が希望を聞き取り、求人の提案から応募・日程調整までを間に入って進める形です。ハローワークは国が運営する公的な窓口で、窓口でもオンラインでも利用できます。直接応募は、事務所の採用ページや問い合わせ窓口に自分から連絡する形で、知人・取引先・師事した先生などの紹介もここに近い入口です。

下の表は、4つの入口を同じ軸で並べたものです。数字ではなく、一般的な傾向を整理したものなので、実際の使い勝手は利用するサービスや事務所によって異なります。

入口見える求人の範囲相談・調整の手厚さ自分の手間向いている人
求人媒体広い。大手から個人事務所まで基本は自分で進める検索・応募・日程調整のすべて相場を知りたい人、自分のペースで探したい人
人材紹介紹介会社が扱う案件が中心希望整理、応募書類、条件交渉まで相談できる面談と書類準備が中心条件交渉を任せたい人、在職中で時間が限られる人
ハローワーク地域の中小事務所が見つかりやすい窓口で相談できる求職登録と応募地元志向の人、費用や登録のしやすさを重視する人
直接応募・紹介事務所ごと。非公開の募集もある事務所と直接やり取りする事務所研究と連絡のすべて行きたい事務所が決まっている人、知人のつてがある人

「どれか1つ」ではなく「主軸と補助」で組む

入口は競合するものではなく、組み合わせて使えます。たとえば、主軸を求人媒体にして相場と選択肢を広く把握し、補助として人材紹介に登録して非公開の案件や条件面の相談を受ける、という組み方があります。行きたい事務所がすでにあるなら、直接応募を主軸にして、媒体は比較の材料として使う形になります。

組み合わせるときの注意点は、同じ求人に複数の入口から重ねて応募しないことです。同じ事務所に媒体経由と紹介経由の両方から連絡が届くと、先方が混乱し、印象を損なうことがあります。応募した事務所はメモに残し、どの入口から進めているかを自分で管理しておきましょう。

会計事務所特有の「募集の出方」を知っておく

会計事務所は、事務所の規模や担当する顧問先の数によって、人手が足りなくなる時期や増員の理由が変わります。担当者の退職や顧問先の増加を受けて、必要なときに随時募集をかける事務所も多く、募集の期間が短い求人もあります。気になる求人を見つけたら、後で見返せるように保存しておき、内容が変わっていないかを定期的に確認するのが有効です。

また、繁忙期を前に人員を整えたい事務所と、繁忙期が過ぎてから落ち着いて採用したい事務所では、面接の進め方や入社時期の希望も異なります。応募の時期と入社の時期を逆算して動くと、選考がスムーズに進みます。繁忙期の働き方については、会計事務所の残業と繁忙期の実態も合わせて確認しておくと、求人票の勤務条件を読み解きやすくなります。

求人媒体は「条件の比較」に強く、見方にはコツがある

求人媒体は、会計事務所の相場や募集の傾向を広く把握したいときに最も使いやすい入口です。一方で、求人票の書き方は事務所によって大きく異なるため、媒体の絞り込み機能だけに頼らず、本文を読み込む姿勢が欠かせません。

求人媒体には、あらゆる業種を扱う総合型のものと、会計・税務・経理など管理部門に絞った特化型のものがあります。総合型は件数が多く、地域や勤務条件での絞り込みがしやすい反面、会計事務所以外の求人も混ざるため、検索語の工夫が必要です。特化型は職種の絞り込みが細かい傾向があり、業界を理解したうえで書かれた求人が見つかりやすい一方、掲載件数は総合型より少なくなる場合があります。

検索語は「職種名」と「業務内容」の両方で組み立てる

会計事務所の求人は、同じ仕事でも呼び方が揃っていません。「税理士補助」「会計事務所スタッフ」「税務スタッフ」「会計補助」「監査アシスタント」のように、事務所ごとに肩書きが違います。職種名だけで検索すると、見落としが出ます。

そこで、職種名に加えて「記帳代行」「決算申告」「所得税の確定申告」「法人税申告書の作成」「相続税」「巡回監査」など、業務内容の語でも検索するのがコツです。経験者であれば、自分が担当してきた業務の語で検索したほうが、条件に合う求人に当たりやすくなります。未経験の場合は、「未経験歓迎」「資格取得支援」「研修あり」といった語で絞り込み、育成を前提にした募集から探していきます。

求人票は「書いてあること」と「書いていないこと」を読む

求人票は、書いてある内容だけでなく、書かれていない内容にも注意を向けます。たとえば、仕事内容が「税務・会計業務全般」とだけ書かれていて、担当する顧問先の数や業種、1人あたりの担当件数が分からない場合は、面接で確認すべき項目として控えておきます。

次のチェックリストは、求人票を見る段階で確認しておきたい項目です。空欄が多いものは、応募前や面接で質問する候補になります。

  • 仕事内容:記帳代行、決算・申告、相続、資産税、コンサルなど、担当範囲が具体的に書かれているか
  • 担当の持ち方:顧問先の数、法人と個人の比率、チームか個人担当かが分かるか
  • 繁忙期の働き方:残業時間の目安や、繁忙期の勤務体制の説明があるか
  • 資格に関する条件:科目合格者や有資格者の扱い、受験への配慮が書かれているか
  • 給与の書き方:基本給と手当の内訳、固定残業代の有無と時間数が明記されているか
  • 募集の背景:増員か欠員補充かが書かれているか

試験を受けながら働きたい方は、受験への配慮の有無が事務所選びに直結します。試験休暇や資格手当の見方は、会計事務所の試験休暇と資格手当の見方で整理しています。

媒体で応募する前に、事務所の情報を別の場所でも確かめる

求人票は、あくまで事務所が自分で書いた募集文です。応募前に、事務所の公式サイトで代表者や所属税理士の経歴、取り扱い業務、顧問先の傾向、スタッフの紹介などを確認し、求人票の内容と食い違いがないかを見ておきます。

公式サイトの情報と求人票を照らして、「求人票では法人税務が中心とあるが、サイトでは個人の確定申告の記載が多い」といった差を見つけたら、面接での質問材料になります。違いがあること自体が悪いわけではなく、実際の仕事の姿を面接で具体的に確認するための手がかりになる、という位置づけです。

人材紹介は「相談できること」と「前提を知ること」が決め手になる

人材紹介は、希望の整理や条件の相談を、第三者に手伝ってもらいたい人に向いた入口です。ただし、紹介会社の側にも事情があるため、仕組みを理解したうえで、自分の優先順位を軸に使うことが大切です。

人材紹介では、登録すると担当者との面談があり、経験や希望条件を伝えます。そのうえで、担当者が条件に合う求人を提案し、応募書類の添削、面接日程の調整、面接後のフィードバック、入社条件の交渉までを間に入って進めます。在職中で自分では時間が取れない方や、年収や勤務時間などを自分では言い出しにくい方にとって、心強い入口です。

紹介会社が扱う案件には偏りがある

紹介会社は、契約している事務所の求人を中心に紹介します。つまり、世の中にあるすべての会計事務所の求人を見られるわけではありません。大手や中堅の法人の募集が多い会社もあれば、地域の中小事務所に強い会社、会計・税務に特化した会社もあります。

この偏りを踏まえ、紹介会社は1社だけでなく、性格の違う2社程度に登録して比べると、提案される求人の幅が広がります。提案された求人が自分の希望とずれていると感じたら、希望条件をもう一度言葉にして伝え直します。担当者との相性が合わなければ、担当の変更を相談したり、別の会社に切り替えたりしても構いません。

自分の希望に優先順位をつけてから面談に行く

紹介会社との面談では、希望を聞かれることが多くなります。「年収も、残業の少なさも、成長環境も、全部重視したい」と答えてしまうと、提案がぼやけます。面談の前に、優先順位を3つほど決めておくと、提案の精度が上がります。

たとえば、次のような決め方です。1つ目は「絶対に譲れない条件」で、通勤時間や勤務地、試験への配慮などです。2つ目は「できれば満たしたい条件」で、担当する業務の幅や、事務所の規模です。3つ目は「あれば嬉しい条件」で、研修制度や福利厚生などです。この順に並べて伝えれば、担当者も提案の軸を作りやすくなります。

費用や条件の扱いは、利用前に確認する

民間の人材紹介を利用するときは、求職者として負担する費用があるのか、あるとすればどのような条件なのかを、登録の段階で確認しておくと安心です。サービスの運営条件や費用の考え方は、事業者ごとに説明が用意されているので、登録前に目を通し、不明な点は質問します。

また、紹介会社の担当者は、事務所側からの採用の成功にも責任を持つ立場です。提案を受けたときは、「なぜこの求人が自分に合うと考えたのか」を聞いてみてください。理由が具体的に返ってくるなら、希望を踏まえた提案である可能性が高く、答えが曖昧なら、一般的な案件の紹介にとどまっている可能性があります。

ハローワークと直接応募は「地域」と「事務所研究」で強みが出る

ハローワークと直接応募は、広告に大きく出てこない地域の事務所や、自社の採用ページ中心で募集を出す事務所に出会える入口です。派手さはありませんが、地元で長く働きたい方や、行きたい事務所が明確な方にとって、確かな選択肢になります。

ハローワークでできること

ハローワークインターネットサービスは、厚生労働省が運営する公式のサービスです。求職者マイページを開設すると、求人情報の検索と検索条件の保存、求人へのオンライン上での直接応募、応募中の求人や選考が終わった求人の確認、メッセージの管理などが利用できます。ハローワークを利用している求職者の場合は、おすすめ求人の受信や、オンラインで紹介される求人への応募も可能です。求職を公開する設定にすれば、求人者から直接連絡を受けられる機能もあります。

会計事務所の求人は、地域の中小規模の事務所からの募集が出ていることがあります。勤務地を絞って検索し、窓口でも相談したい場合は、求人票だけでは分からない事務所の雰囲気や過去の採用の様子を、窓口の職員に聞いてみるのも一案です。ただし、窓口の職員が事務所の内部事情まで把握しているとは限らないため、聞いた内容は参考情報にとどめ、最終的には自分で確認します。

直接応募は「事務所への理由」が問われる

直接応募では、媒体や紹介会社が間に入らない分、「なぜその事務所を選んだのか」を、自分の言葉で説明することが求められます。事務所の採用ページに募集が出ていなくても、問い合わせフォームやメールで、募集の有無を尋ねられる事務所もあります。その際は、これまでの経験、希望する業務、その事務所に関心を持った理由を、簡潔にまとめて伝えます。

行きたい事務所がある場合の準備として、次の3点を押さえておくと、連絡の質が上がります。

  1. 事務所の公式サイトや所属税理士の発信から、強みや注力分野を把握する
  2. 自分の経験のうち、その事務所の業務に重なる部分を整理する
  3. 連絡の目的(募集の有無の確認か、見学や面談の希望か)を、最初の一文で明示する

知人や取引先を通じた紹介も、直接応募に近い入口です。紹介者がいる場合は、事務所の内情を事前に聞けるという利点がある反面、断りにくくなるという面もあります。条件面や働き方の確認は、紹介であっても通常の応募と同じように行うのが、後悔を避ける基本です。

経験の浅い人は、育成の仕組みがある募集を探す

未経験や経験の浅い方が直接応募をする場合、「教えてもらえる環境があるか」を確認することが重要です。募集要項に研修やOJTの記載があるか、新人を担当する先輩がいるか、チーム体制で業務を進めているかを、サイトや問い合わせで確かめます。未経験から税理士法人に進む道筋は、未経験から税理士法人への転職は可能?で順を追って解説しています。

状況別に入口を選ぶ:使い分けの基準と準備手順

入口の選び方は、経験・在職状況・希望の明確さの3つで決まります。自分の状況に最も近い型を見つけて、そこから始めてみてください。

状況別の入口の選び方

たとえば、次のような場面を考えてみます。

会計事務所で3年ほど記帳と決算を担当してきたAさんは、在職中で、平日の日中はほとんど時間が取れません。この場合は、人材紹介を主軸にして面談や日程調整を任せつつ、求人媒体で条件の相場を把握する、という組み方が合います。

一般企業の経理から会計事務所への転職を考えているBさんは、会計事務所の働き方や仕事の違いをまだ把握しきれていません。この場合は、まず求人媒体で幅広く求人を見て、仕事内容の書き方の違いに慣れます。そのうえで、紹介会社の面談で、自分の経験がどの事務所で活かせるかを相談する流れが合います。両者の違いは、会計事務所と一般企業の経理の違いでも整理しています。

地元で長く働きたいCさんは、通勤圏内の事務所に絞りたい考えです。ハローワークと、地域の事務所の採用ページを中心に探し、補助として求人媒体で勤務地を絞って検索すると、見落としが減ります。

入口の選び方の早見表

あなたの状況主軸にする入口補助にする入口
在職中で時間が取れない経験者人材紹介求人媒体(相場の確認)
未経験・経験が浅い求人媒体(育成前提の募集)人材紹介(相談)
地元志向で勤務地を絞りたいハローワーク・直接応募求人媒体
行きたい事務所が決まっている直接応募求人媒体(比較用)
条件交渉に自信がない人材紹介―

応募前に整えておく準備手順

どの入口を使う場合も、次の順番で準備しておくと、応募後の動きが速くなります。

  1. 希望条件を3段階(譲れない・できれば・あれば嬉しい)に分けて書き出す
  2. これまでの業務を、担当した顧問先の種類、業務の範囲、使用した会計ソフトの順に整理する
  3. 履歴書と職務経歴書の下書きを作り、応募先に合わせて強調する点を調整できる状態にする
  4. 受験中の資格がある場合は、受験の予定と、働きながらの勉強の方針を言葉にしておく
  5. 応募した事務所、入口、日付、状況を一覧にして、重複応募や連絡漏れを防ぐ

特に4は、会計事務所の面接で必ずと言ってよいほど聞かれる点です。受験を続けるのか、続けるなら繁忙期の勉強時間をどう確保するのかを、無理のない形で答えられるようにしておくと、面接官にも誠実さが伝わります。

面接で確認したい質問

最後に、面接や面談の場で確認しておきたい質問を挙げます。求人票だけでは分からない部分を、遠慮せずに聞いてください。

  • 担当する顧問先の数と、業種や規模の傾向
  • 繁忙期の残業の実態と、繁忙期以外の勤務時間
  • 新しく入ったスタッフが、最初の半年でどのような業務を担当するか
  • 資格の受験に対する支援や、休暇の取り扱い
  • 募集の背景と、既存スタッフの勤続の傾向

聞き方は、「入社後に長く働きたいので確認させてください」といった前向きな姿勢で伝えると、先方にも受け取られやすくなります。

まとめ

会計事務所の求人の探し方は、求人媒体、人材紹介、ハローワーク、直接応募の4つに整理できます。どれが優れているかではなく、自分の経験、在職状況、希望の明確さに合わせて、主軸と補助の組み合わせを決めるのが基本です。

求人媒体は相場や選択肢を広く把握するのに向き、人材紹介は条件の整理や交渉を任せたい人に向きます。ハローワークは地域の事務所に出会いやすく、直接応募は行きたい事務所が決まっている人に向いています。いずれの入口でも、求人票に書かれていないことを面接で確認する姿勢が、入社後のミスマッチを減らします。

最初の一歩として、希望条件の優先順位を3段階で書き出し、主軸にする入口を1つ決めてみてください。そこから、補助の入口を1つずつ足していけば、無理なく選択肢を広げられます。

  • 求人の入口は、求人媒体・人材紹介・ハローワーク・直接応募の4つで、主軸と補助に分けて使う
  • 求人媒体では職種名と業務内容の両方で検索し、求人票の書かれていない部分は面接で確認する
  • 人材紹介は希望の優先順位を決めて面談に臨み、費用や条件の扱いは登録前に確認する
  • ハローワークと直接応募は、地域の事務所や行きたい事務所が明確な場合に強みが出る
  • 応募前に、希望条件、経験の整理、受験の方針、応募管理の一覧を準備しておく

参考文献

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