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税理士試験と仕事を両立しやすい職場の条件|入社前に確認する7項目と見分け方

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平日は仕事で夜まで埋まり、帰宅後に机に向かう気力が残らない。繁忙期が来るたびに学習計画が崩れ、直前期の休みも取れるか分からない。受験を続けたいのに今の職場では続けられない、と感じて転職を考え始めた方は少なくありません。

ここで難しいのは、「両立しやすい職場」が求人票の文面だけでは見分けにくいことです。「資格取得支援あり」「試験休暇あり」と書かれていても、制度があることと、繁忙期や試験前に実際に使えることは別の話です。転職したあとで、前の職場と同じ壁に当たるのは避けたいところです。

この記事では、両立を左右する条件を「時間の総量」「時間の柔軟性」「試験前後の休み」「業務と受験科目の距離」「周囲の理解」に分けて整理します。公的な制度として決まっている部分と、職場ごとに差が出る部分を切り分けることで、入社前に何をどう確認すればよいかが判断できるようになります。

職場の種類別の見方と、面接や内定後の面談でそのまま使える確認項目もまとめました。今すぐ転職するかどうかを決める前の材料としても使えます。

この記事で分かること

  • 両立が崩れる原因を、時間・繁忙期・試験前の休みの3つに分けて考える方法
  • 残業の上限規制やフレックスタイム制など、法律で決まっている枠と職場ごとに差が出る部分
  • 税理士法人・会計事務所と一般企業の経理を、両立の観点で比べるときの見方
  • 入社前に確認したい7項目と、聞き方の例
  • 受験計画と働き方を合わせる準備手順
目次

両立が崩れる原因は「時間」「繁忙期」「試験前の休み」に分けられる

両立しやすい職場かどうかは、平均的な残業時間だけでは決まりません。毎日の勉強時間を確保できるか、繁忙期に学習が途切れないか、試験直前に休めるか、の3点で見ると原因がはっきりします。

毎日の学習時間を削る要因

平日の学習時間は、退社時刻だけでなく通勤時間、退社直前の突発的な依頼、帰宅後の気力にも左右されます。定時で退社できる日が多くても、終業間際に急ぎの案件が入りやすい職場では、夜の予定を固定しにくくなります。

反対に、残業が多少あっても退社時刻が読める職場なら、「この曜日は必ず勉強する」と決められます。両立では、時間の長さと同じくらい、見通しの立てやすさが効きます。

繁忙期に学習が止まる

会計事務所では、決算や申告の時期に業務が集中しやすいとされます。経理でも月次・四半期・年次の決算前後は忙しくなります。繁忙期が試験勉強の追い込み時期と重なると、学習量が大きく落ちます。

見るべきなのは、繁忙期がいつ来るかと、その間の残業が前年にどのくらいだったかです。繁忙期の実態の見分け方は、会計事務所の残業と繁忙期の実態|確定申告期の残業を見分ける方法で詳しく扱っています。

試験前の休みが取れるか

税理士試験は科目ごとに受験できますが、試験は1年に1回です。令和8年度(第76回)は、国税庁の公告で8月4日(火)から6日(木)の3日間に実施され、合格発表は11月27日(金)と示されています。受験する科目の日に出勤を求められないこと、直前の数日を休めることは、学習計画の前提になります。

ここで差が出るのは、試験休暇の制度名ではなく、取得実績と手続きです。繁忙期でなくても、申請に上司の個別承認が必要で実際には断られやすい、という職場もありえます。

法律で決まっている枠と、職場ごとに差が出る部分を分けて考える

法律が定めるのは働き方の「天井」であり、職場の実態そのものではありません。上限規制やフレックスタイム制の仕組みを知っておくと、求人票や面接で聞くべきことが絞れます。

残業時間の上限規制

厚生労働省の「時間外労働の上限規制」によると、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とされています。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、休日労働を含めて月100時間未満、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)に収める必要があります。

違反した場合の罰則について、同ページには「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と記載されています。ただし、2025年6月1日に懲役と禁錮が廃止され、新たな刑として拘禁刑が創設されました(法務省)。現在の刑法の刑名で言えば、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に当たります。

これらはいずれも超えてはいけない上限であり、その職場の通常の残業時間を示すものではありません。両立を考えるなら、月45時間という上限そのものより、毎月の実績と、繁忙期の山がどこまで高くなるかを確認する必要があります。

フレックスタイム制の仕組み

厚生労働省の解説では、フレックスタイム制は、一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で日々の始業・終業の時刻を自ら決めて働く制度とされています。この期間は清算期間と呼ばれ、2019年の法改正で上限が1か月から3か月になりました。

コアタイム(必ず働く時間帯)とフレキシブルタイム(自分で選べる時間帯)は、設けるかどうかも含めて任意で、労使協定で定めます。両立の観点では、コアタイムの有無と時間帯が重要です。たとえばコアタイムが10時から15時なら、朝と夕方の時間を柔軟に使えます。コアタイムが長い職場では、制度があっても使い勝手は変わります。

職場ごとに差が出るところ

法律で決まらず、職場の運用で差が出る部分は次のとおりです。

  • 繁忙期の残業の実績と、上司の指示の出し方
  • 試験休暇や特別休暇の名称、日数、申請手続き、取得実績
  • 受験料・講座費の補助と、合格時の手当や昇給の扱い
  • 受験者が複数いるかどうか、組織としての慣れ

この部分は求人票に載らないことが多く、面接や内定後の面談で自分から確かめる必要があります。

職場の種類別に、両立の観点で見る

職場の種類ごとに、両立で気にするポイントは異なります。以下は一般的な傾向であり、同じ種類でも個々の職場で差があるため、最終的には次章の確認項目で個別に見てください。

職場の種類両立で有利になりやすい点注意したい点
税理士法人・会計事務所(大手の区分)受験者が多く、学習支援や試験休暇の仕組みが整っている場合がある繁忙期の業務量が大きい。担当制で突発対応が入りやすい
税理士法人・会計事務所(中小の区分)所長や上司との関係次第で、個別に柔軟な調整がしやすい場合がある制度化されておらず、人手が少ないと休みを取りづらい
一般企業の経理勤務時間や休日が比較的読みやすい。決算期以外は定時退社しやすい場合がある税法科目の実務経験は積みにくい。簿記論・財務諸表論に近い業務が中心になりやすい
在宅やフレックスを使える職場通勤時間を学習に回せる。始業・終業を調整しやすい制度の対象職種・条件が限られる場合がある

業務と受験科目の距離で見る

学習と実務が重なるほど、同じ時間で理解が深まりやすくなります。法人税法を受験するなら法人の申告業務、相続税法なら資産税の案件に触れられる職場が合います。反対に、学習している科目と実務が離れている職場でも、時間に余裕があれば両立は可能です。

大事なのは、実務で科目を活かすことを優先するか、学習時間の確保を優先するかを自分で決めておくことです。優先順位が曖昧なまま転職すると、入社後に「実務は役立つが勉強時間がない」「時間はあるが実務が科目と無関係」という状況になりやすくなります。

たとえばこんな場面

簿記論と財務諸表論に合格し、法人税法に取り組んでいる30歳前後の方を考えてみます。今の職場は決算期に月の残業が大きく増え、1〜2月は学習がほぼ止まります。ここで、繁忙期の残業が少なく、法人税の申告業務に触れられる職場へ移れれば、学習と実務の両方が前に進みます。

一方で、残業は少ないが、記帳代行が中心で法人税の申告に触れない職場へ移った場合、時間は確保できても、実務からの学びは少なくなります。どちらが良いかは、受験の残り期間と、いつまでに実務経験を積みたいかで変わります。

入社前に確認したい7項目と、聞き方の例

確認項目は、制度の有無ではなく、実績と運用を尋ねる形にします。「あります」で終わる質問を避け、数字や具体例を引き出すのがコツです。

確認項目聞き方の例見たい答え
1. 繁忙期の残業実績昨年の繁忙期は、月ごとにどのくらいの残業になりましたか月別の目安を答えられる。上限規制の範囲に収まっている
2. 退社時刻の読みやすさ平日の退社時刻は、前日までに分かりますか突発対応が少なく、見通しが立つ
3. 試験前の休み試験の日と直前の休みを、どのように調整していますか取得実績と申請手続きを具体的に答えられる
4. 勤務時間の柔軟性フレックスや時差出勤は、実際に使われていますかコアタイムの有無と、利用者の存在
5. 担当業務と受験科目受験科目に関連する業務を担当することはできますか配属や担当の希望を聞く姿勢がある
6. 学習支援受験料や講座費の補助は、合格時や不合格時にどう扱われますか条件が明文化されている
7. 受験者の在籍受験を続けている方は、現在どのくらいいますか在籍者がいて、働き方の具体例を聞ける

試験休暇と資格手当は条件まで見る

試験休暇や資格手当は、名称だけでは実態が分かりません。日数、有給か無給か、申請の期限、合格後の手当の金額や条件などは、職場によって異なります。入社前に条件を書面や面談で具体的に確かめておくと、入社後のずれを減らせます。

聞きにくいときの工夫

面接の初期段階で受験の話を深く聞くと、仕事への意欲を疑われないか不安になるかもしれません。その場合は、選考が進んだ段階か、内定後の面談で聞く方法があります。「長く働くために、学習と仕事の両立の仕方を具体的に知りたい」という伝え方なら、前向きな質問として受け取られやすくなります。

質問の順番は、まず業務への意欲を伝え、そのうえで「働き方の面で確認したい点」として切り出すと自然です。求人票の読み方については、会計事務所の求人 見分け方|求人票で確認すべき項目と読み解き方も参考になります。

受験計画と働き方を合わせる

職場を選ぶ前に、受験計画の側を整理しておくと、確認すべき点が明確になります。受験の条件と費用は、国税庁の公告や受験案内で確認できます。

受験資格と科目数

国税庁のQ&Aによると、令和5年度(第73回)税理士試験から、会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)は受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験可能です。税法に属する科目は、学識、資格、職歴、認定のいずれか1つに該当する必要があります。たとえば職歴では、法人または事業を行う個人の会計に関する事務に通算2年以上従事した場合が対象とされています。

つまり、今の職場で積んでいる経理の経験が、受験資格の面でも関わってくる可能性があります。職歴は複数の勤務先での期間を通算できるため、転職で途切れるものではありません。出願時に従事期間を証明する書類が必要になるので、前の職場での在籍期間と業務内容を控えておくと安心です。

受験手数料と年間の見通し

令和8年度の公告では、受験手数料は科目数に応じて、1科目4,000円、2科目5,500円、3科目7,000円、4科目8,500円、5科目10,000円とされています。手数料の差は大きくないため、受験科目数は費用ではなく、確保できる学習時間で決めるのが現実的です。

試験日程は例年固定ではなく、年度ごとに官報公告で示されます。令和8年度は8月4日から6日の3日間でした。次の年度の日程は公告で確認しながら、年間の学習計画を立ててください。

準備手順の目安

転職活動と受験を並行する場合は、次の順で進めると負担が偏りません。

  1. 今の職場で両立できない原因を、時間・繁忙期・試験前の休みのどれかに特定する
  2. 次の試験で受ける科目と、学習に必要な1日の時間を決める
  3. 譲れない条件(繁忙期の残業の目安、試験前の休みなど)を2〜3つに絞る
  4. 求人を探し、上の確認7項目で比べる
  5. 面接や内定後の面談で、実績ベースの質問をする
  6. 入社後、最初の数か月で学習のペースを再設計する

転職の時期は、試験直前を避けるのが無難です。入社直後は仕事を覚える負荷が高く、そこに直前期の学習が重なると、どちらも中途半端になりやすいからです。

入社後に両立を続けるための工夫

職場を選んだあとも、両立を維持するには自分の側の工夫が要ります。条件の良い職場でも、使い方を間違えると学習は止まります。

最初に上司と共有しておく

受験を続けることと、試験の時期、繁忙期の見通しを、入社後なるべく早い段階で上司に伝えておきます。突然試験休暇を申請するより、半年前から共有しておく方が調整されやすくなります。

共有するときは、仕事を優先する姿勢と、試験の日程や必要な休みを具体的に伝えることがポイントです。曖昧な伝え方は、かえって負担を増やします。

学習時間を固定化する

仕事の都合で変わる時間帯に頼らず、通勤時間や昼休み、朝の時間など、仕事に左右されにくい枠を学習に当てます。夜に残業が入った日でも、朝の1時間が確保できれば、学習が途切れにくくなります。

また、繁忙期に学習量を落とす前提で、繁忙期以外に貯金を作る計画にしておくと、焦りが減ります。

条件が崩れたときの見直し

入社前に確認した内容と実態が違うこともあります。その場合は、半年ほど様子を見て、改善の見込みがなければ配置や働き方の見直しを相談します。それでも変わらなければ、再度の転職を考える選択肢もあります。ただし、短期間での再転職は評価に影響することがあるため、入社前の確認を丁寧に行っておく方が効率的です。

まとめ

両立しやすい職場かどうかは、残業の平均値ではなく、繁忙期の山の高さ、退社時刻の見通し、試験前の休みの取りやすさ、業務と受験科目の距離で決まります。法律は残業時間の上限やフレックスタイム制の枠組みを定めていますが、実際の運用は職場ごとに異なります。

求人票の文面だけで判断せず、実績ベースの質問で確かめることが大切です。制度名ではなく、取得実績、月別の残業、コアタイムの有無、受験者の在籍状況を尋ねると、実態が見えやすくなります。

また、職場の種類ごとに有利な点と注意点が異なるため、自分が何を優先するか(学習時間か、実務との接点か)を先に決めておくと、選択がぶれません。受験資格や科目数、日程も国税庁の公告で確認し、受験計画と働き方を合わせて考えてください。

  • 両立の壁は「時間」「繁忙期」「試験前の休み」に分けて考える
  • 残業の上限規制やフレックスタイム制は、あくまで法律上の枠で、職場の実態は別に確認する
  • 確認は制度の有無ではなく、実績と運用を尋ねる形にする
  • 学習時間の確保と実務との接点のどちらを優先するか、先に決めておく
  • 転職は試験直前を避け、入社後は早めに上司と受験の予定を共有する

参考文献

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